トップへ
田村研究室

マルチメディア論および演習

2009年度

2009
7/6

バーコードとQRコード

バーコードとは

バーコードの定義は,JIS X 500の定義によれば,「光学的反射率の高い部分と低い部分との組み合わせで情報を表示し,機械読み取り可能とした情報担体の総称」とされている.いいかえると数字や文字を,バーコードリーダーなどの機械で読み取れるように白黒模様で表現したものである.これには,一次元シンボル二次元シンボルが含まれる.

一次元シンボルは,スーパーやコンビニなどの店舗でお馴染みのいろいろな太さの縦線が並んだ縞模様として数字やアルファベット記号を表現したもので,日常会話では「バーコード」と呼ばれるときにはこの一次元シンボルだけを意味することも多い.

二次元シンボルは,QRコードに代表されるもので,縦横不規則な市松模様のようなものであり,日本語の漢字なども表現することが可能となっている.定義上このQRコードも「バーコード」の一種である.

バーコードの規格は,アメリカのAIM Inc.(国際自動認識工業会)が事実上主導してきた形だが,1996年以後は国際規格としてISO規格が規程されている.

一次元シンボル

一次元シンボルは,1970年代にアメリカで標準規格制定の動きが始まり,実際に産業界で使用されはじめたのが最初である.日本でも1978年にJIS規格として制定され,1980年代にセブンイレブンが全国規模で使用し始めたことで爆発的に普及した.

現在ISO規格で定められている一次元シンボルには4種類ある.

  • インターリーブド2オブ5
  • コード39
  • EAN/UPC
  • コード128

インターリーブド2オブ5とコード9は,二値幅シンボル体系と呼ばれ,バーコードが「細い」「太い」の二種類だけで構成されている.インターリーブド2オブ5は,太線2本+細線3本(あるいは白いスペース2本と3本)合わせて5本で一文字分を表現する.コード39では3本と6本である.表現できる文字は,インターリーブド2オブ5は0から9の数字だけに対して,コード39ではAからZの英大文字と$や%などのいくつかの記号を表現できる.コード化できる文字数は任意で,必要な文字数分だけ横に並べて表現する.

二値幅シンボル体系では二値だけで構成されるため,読み取りが容易だが,生成されるバーコード形状がやや長めとなる.それに対して線の太さの種類を多くした場合,読み取りは複雑になるものの同じ文字列をコード化したときにより短く表現できるようにした規格が次の二つである.

EAN/UPCは,最細線を幅を基準に,その2倍,3倍,4倍の太さの線が存在し,合わせて線の太さの種類が4種類で表現される.最細線の幅を基準に最細線7本分の幅で1文字を表現する.また,この1文字分は2本の線と2本のギャップからなる.これを組み合わせて何文字分を表現するかで,さらにいくつか規格が決められている.EAN/UPCでは数字しか表現できない.

最後のコード128は,線の太さは同じく4種類,一文字の表現は最細線11本分で表現し,また一文字は3本の線と3本のギャップから構成される.ASCIIの全コードを表現できる.それに任意の文字数分を横に接続できるように,最初と最後の文字としてスタート文字とストップ文字が用意されている.

二次元シンボル

世界最初の二次元シンボルは,1980年代ごろから世界的に有名なトヨタ自動車の「かんばん方式」で用いられた「かんばん」に使用されたバーコードである.一次元バーコードを数段重ねたものだが,これは一種の二次元バーコードであり,他と比較して10年以上早く実用化された画期的な二次元シンボルであった.

一次元シンボルは,表現できるのは英数字だけで,また横に長くなるため事実上20文字程度が限界であった.同じ面積でもより多くの文字種でより長い文字長の情報を表現するために2次元シンボルが考案された.しかし,同じ面積でより多くの情報を表現するために,読み取りが複雑となり読み取りエラーが増大する.これに対処するために二次元シンボルではエラー訂正機能が付加されることが必須である.次に示すISO規格のシンボルではエラー訂正機能としてNASAが開発したリードソロモンが採用されている.

現在ISO規格で定められているニ次元シンボルには4種類ある.

  • PDF417
  • データマトリックス
  • マキシコード
  • QRコード
 

PDF417は,1次元シンボルを複数積み重ねたような長方形型のマルチローシンボルである.コード単位として4本の線と4本のギャップで構成され,最細線の17本分から構成される一次元シンボルを縦横に重ねて配置する.はPDF417で表現できる情報量は,英数字1850文字である.バイナリ(2進数)を表現させると,1108バイトまで表現可能である.バイナリ表現を使用すれば日本語の漢字コードをバイナリとして埋め込むことも可能となる.

残る三つは,正方形の碁盤の目状に白黒模様を配置したマトリックスシンボルである.シンボルを発見しやすくする位置検出パターンと,ひずみ検出用の位置合わせパターンと,データを符号化する領域から構成される.

データマトリックスは,アイディマトリックス社によるもので最大で3000字程度の情報を扱うことができる.マキシコードは,アメリカの物流系で普及したもので,同心円状の位置検出パターンと六角形を基本としたシンボルが特徴である.

QRコードは,アジアの漢字コードにも対応した大容量の二次元バーコードとして開発された.