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田村研究室

マルチメディア論および演習

2009年度

2009
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画像に対するローパスフィルタ

周波数スペクトル画像

デジタル画像は,実は音声データと同じく波形の集まりととらえることができる.例えば画像中のどこか縦一列だけを取り出したとする.すると一列に並 んだ画素データになる.この画素の各明度値を高さに置き換えてグラフ化してみれば,音声波形と同じような一種の波形データになる.つまり,画像データは, こうした波形データがたくさん並んだものと考えることができる.さらに同様に,横一行を取り出しても同じように波形データの集まりとらえられる.つまり, デジタル画像は縦横の波形が集まってできた二次元の波形データなのである.

これから,デジタル画像もデジタル音声と同様に周波数成分を取り出すことができる.ただし,もちろん音声と同様のフーリェ変換というわけにはいか ず,二次元のフーリェ変換を使用する必要がある.二次元FFTは,まず横方向(縦方向でもよい)の一次元のFFTを実行し,それからその結果を今度は縦方 向(横方向)で一次元FFTを重ねて適用することにより行われる.

得られた変換画像は,周波数スペクトル画像を表し,中心を低周波数部分.端を高周波成分とし,含まれる成分値が大きければ白く,成分値がなければ黒 く示されている.この画像の中心を通る直線を取り出して,その直線上の成分値をグラフにすれば,画像の中の直線の傾きに対応した周波数スペクトルとなって いる.

画像に対するローパスフィルタ

この周波数スペクトル画像を作成して,例えば中心からの距離がある一定以上の部分を消去させると,つまり高周波成分を除去することになる.この周波 数画像を逆FFTにより再変換して元の画像に戻すと,高周波成分にあたる画像の細かい部分がなくなり,全体にぼやけた画像となる.