第6回
目標
- レポート形式の文章レイアウト
タイピング試験
最初に10分程度時間をとるので,レポート形式の文章レイアウトについて,次のタイピング実力試験で,何回でも挑戦し,合格点である100ptを越えた記録画面をFirefoxのタブに残しておくこと.出欠確認時などにTAが確認する.
- タイピング実力試験e-Typing(腕試しをクリック)
レポート形式の文章レイアウトについて
小学生の作文とは異なり,我々工学部で学ぶエンジニアが書くべき技術系文書には書き方に一定の作法がある.諸君らも二年生になったら実験レポートを作成することになり,その練習をすることとなる.さらに卒業するためには卒業論文や学会発表用の論文を作成する必要がある.例えば,次のような文書形式である.
- 田村研究室の卒業論文(要約)一覧
- 櫛橋先生による「実験レポート作成の手引き」
このような文書は,その時々で要求される書式にしたがって書くことが要求される.
レポートについて
実験演習に限らず,一般的な報告書(レポート)を書くための注意点についてまとめる.
報告書の構成(レポートの必要事項)
一般にレポートや論文は,次のような構成を持つことが多い.
- 表紙
- 講義名:担当教員名 報告書のタイトル,学籍番号,氏名,提出日,締め切り日,など必要なことを漏らさずに記入.必ず必要.
- 1.まえがき
- 何にについて書いた文章か説明する部分.
- 2.目的
- どのような問題について,なにを明らかにするのか説明する部分.
- 3.理論・原理
- 実験の結果を予想するための理論・原理など
- 4.実験方法
- 実験の条件や範囲,実験器材など、方法などあらかじめ説明が必要なことについてすべて書く.この部分は実験内容や調査内容・研究内容に応じて、場合によっては複数の章を分けて詳しく書いたりすること。
- 5.実験結果
- 調査結果,実験結果などについて書く.ここではあくまで「事実」を書くことに徹する。自分の考えや先入観はいっさい挟まないように注意。
- 6.考察
- 実験結果についてなぜそうなったのか,理論とは合致しているか,など様々な観点から実験結果を分析する.自分の考えを中心に書くこと。 卒論などでは結論だけを独立した章にすることもある.
- 7.まとめ
- 1.から6.について簡潔にまとめる.(結論だけではない点に注意)
- 参考文献
- 参考にした書籍,論文のリストをつける.(ここに8.のような章番号は振らない)
文章の性格や,量によって,これらの章は他とまとめられたり、逆に分割されたりする場合もある.例えば卒論では,
1.まえがき 1.1 研究の背景 1.2 研究の目的 2.理論 3.実装方法 4.システムの構築 4.1 構築結果 4.2 システムの評価 5.議論 ・・・
のようにさらに詳細な章立てを行うこともある.(通常の講義レポート程度の分量では、あまり小分けするとかえって読みづらくなるので注意.)
報告書や論文とは,読み手に,何かを伝えるために書く文章である.必要以上に形式にこだわることはないものの,報告書を書き慣れていない場合は,この形式どおりに書いた方が無難である.形式に従えば,少なくとも必要な事項を漏らさないで済む.
文章の形式上の注意
レポートでは,基本的に正しい日本語の規則に従うこと.小学校の作文で習ったはずの当たり前の約束に従う.注意してほしい.特に,文体は「である」調か,「ですます」調かどちらかに統一すること.レポートの場合は「である」調であることが多い.
また,箇条書きや図,表を使うなど適宜分かりやすい表現をするように心がける.ただし,箇条書きだけで報告書を構成してはいけない.読んでもさっぱり理解できない報告書になる.基本は文章できちんと表現し,ポイントとなる点など適切な個所で箇条書きを使うようにすると効果的である.
その他、次のルールに従うこと.
- 章の見出しは必ずつける.
- 図,表には必ず見出しをつける.図の場合は図の下に,表の場合は表の上につける.
- 必ずページ番号を振る.レポートの上をホチキスで綴じる場合は,ページの下にページ番号をつける.ページ番号の書式はどのようなものでもかまわないが,文章内で統一する.
- 参考文献として必要情報を必ず書く.書籍を参照する場合は,
文献番号 著者名, 「書籍名」, 出版社, 発行年. (例: [2] 田村仁 「レポートの書き方」,日工大出版社,2011.)
学術雑誌や論文集のなかの論文を参照する場合は,文献番号 著者名, “タイトル”, 雑誌名, 巻,号,ページ,発行年.(例: [6] 田村ほか,“ロボットの分類”,なんとか学会論文誌,Vol.123, No.3, pp457-464, 2011.)
- 複数枚のレポートの場合には,必ず表紙を付け,ホチキスで2箇所を留める.1箇所だけだと,ホチキスがとれてしまうことがある.最悪の場合,それが誰のレポートかなどが分からなくなり,成績がつかない.(クリップで留めたものなどは論外)
内容上の注意
自分の意見と他人の意見の区別
文献の内容を必要に応じて引用したり,アイデアを借りることは構わない.その代わりちゃんと明示すること.
例: この実験結果は,[1]によれば,○○と考えられる. (参考文献番号を示す) 例: ○○の定義は,[2]から引用すれば「×××である」とされている.
特に忘れやすいが,図を引用する場合にもきちんと明示すること.
これらを明示しないまま,自分の考えであるかのように記述すると,「盗作」として扱われる.「盗作」は学術の世界ではもっとも重い罪の一つであり,卒論などで発覚すると卒業できないのはもちろん,退学を含めた処分が考えられる.単に言い回しや,文体を変えただけで,文章の論理が同じまま自分の意見のように書かれている場合も,やはり盗作として扱われる.
また,引用の範囲を超えて一章まるごとや一ページ丸ごとの場合には,「転載」と呼ばれる.転載の場合には,必ず相手から書面で許諾を受ける必要がある.
「感想」はいらない
レポートは感想文とは違う.感想を書かれても成績には関係しない.感想だけが書かれた報告書は,白紙で提出されたものと等しい.感想ではなく,「事実」や「真実」,「考察」が求められているのである.演習に対する感想などがあれば,完成されたレポートの末尾に付記する形にしてほしい.