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田村研究室

コンピュータリテラシー2

Computer Literacy 2

2010
9/28

第3回

目標

  • 技術レポートの書き方
  • モンテカルロシミュレーションに対する考察

レポートの書き方

実験演習に限らず,一般的な報告書を書くための注意点についてまとめる.レポートのサンプルをここにおいておく.

レポートの形式

レポートは次の形式と目次をとることが多い.もちろん書かなければならない文書の種類や対象などによっていろいろなバリエーションが存在するが,慣れないうちは次の形式と目次に従って書くことを勧める.レポートは,読み手に,何かを伝えるために書く文章である.あまり形式にこだわる必要はないものの,少なくともよくある形式に従うことで,必要な事項を書き漏らさないで済む.

  • 表紙 (授業名,レポート名(テーマ名),担当教員名,学籍番号と氏名,共同作業者名と学籍番号,締切り日,提出日 程度を1ページ分全部を使って記述する.)
  • (長いレポートでは)目次 (各章のタイトルと章の最初のページの一覧,10ページ以内の短いレポートでは省略可)
  • 1. 前書き (何の授業の何のレポートか)
  • 2. 目的 (レポート自体あるいは対象の実験/演習の目的)
  • 3. 方法 (実験/演習の使用機材や実験方法について誰でも再現できるように手順を詳しく説明)
  • 4. 実験(演習)結果 (実験や演習の結果,ここではあくまで結果の事実を自分の考えを排除して客観的に説明)
  • 5. 考察 (実験や演習の結果をどのように受け止めるか,自分の考えを主張する.ここがレポートの一番大切な部分.)
  • 6. まとめ (どんな実験でどんな結果でどんな考察をしたのか,レポート全体の簡潔なまとめ,結論や感想だけではない.)
  • 参考文献 (ここに章番号はなし,参考にした書籍やWebページの一覧)
書式上の注意

レポートの表紙は,指定された方向(左側や上側など)を二ヶ所以上ホチキス止めをすることを基本とする.なぜならレポートボックス内や先生が大量のレポートを整理するために積みあげたりする時に,一ヶ所だけだと表紙などが取れてしまうことがありうるためである.クリップで留めたものなど論外,レポートボックスに提出された直後にばらばらになってしまう.すると誰のレポートかが分からなくなり,その結果,成績をつけてもらえなくなる.

レポートの本文では,基本的に正しい日本語の規則に従うこと.例えば,

  • 各章の見出しはちゃんとつける.
  • 本文の段落の最初は一文字下げる.
  • 「、」「。」をちゃんと付ける.このページの文書のように技術文書では代わりに「,」「.」を使うこともよくある.
  • 段落は意味のあるまとまりにして,段落の終わりでは改行する.
  • 文体は「ですます体」か,「である体」のどちらかに統一する.技術文書では「である体」がよく使われる.えらそうだなどと気を使うことはなく,単に論文や報告書のお約束と考えればよい.その代わり,いい加減な内容は書かずに,ちゃんと実験結果に基づいたり参考文献などを参考に,事実や当然の論理的帰結を書くことを肝に命じ,自分の考えに対して充分根拠を示すように心がけること.「である体」でえらそうに根拠のない嘘を書いていては恥ずかしさが倍増してしまう.
  • 表紙と目次を除き,それ以外にはページ番号を書き込む.
参考文献の書き方

参考文献の書き方は,次の例にしたがう.

学術雑誌や論文集のなかの論文を参照する場合
  • 文献番号 著者名,"タイトル",雑誌名,巻,号,ページ,発行年.
  • 例 富田ほか,"構造解析によるテクスチャの分類",電子情報通信学会論文誌(D),Vol.J61-D,No.1,pp457-464, 1978.
書籍を参照する場合
  • 文献番号 著者名,「書籍名」,出版社, 発行年.
  • 例 三根久,「モンテカルロ法・シミュレーション」,コロナ社,1994.

内容に関する注意

自分の意見と他人の意見をはっきり区別して記述すること.これができないと,盗作とみなされることがある.卒論などで発覚すると卒業できないのはもちろん,退学を含めた処分が考えられる.

他人の文章を引用する場合は,その部分をはっきり明示して引用しなければならない.単に言い回しや,文体を変えただけで,文章の論理が同じまま自分の意見のように書かれている場合も,やはり盗作として扱われる.

また文章だけでなく,図や表に関しても書籍から引用する場合は出典を明記しないといけない.図や表に関してデータを基に自分で書きなおしたものでも,図や表の元となったデータの出典を明記しないといけない.また,引用の範囲を超えて一章まるごとや一ページ丸ごとの場合には,「転載」と呼ばれる.転載の場合には,必ず相手から書面で許諾を受ける必要がある.

また報告書は感想文とは違う.感想を書かれても成績には関係しない.感想だけが書かれた報告書は,白紙で提出されたものと等しい.感想ではなく,「事実」や「真実」,「考察」が求められている.感想があれば,完成されたレポートの末尾に付記する形にしてほしい.