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田村研究室

インターネット利用技術演習

2009年度

2009
4/13

電子メール(E-mail)

電子メールとは

電子メール(E-mail)とは,コンピュータ上で文字のメッセージを交換するシステムのことである.「文字情報をやりとりする」ことから従来の郵便はがきをイメージして,メール(郵便)に喩えられた.日本語では「郵便」と訳されずにそのまま「メール」と呼ばれる.

コンピュータによる電子メールは様々な場所で独自に実現されていたが,インターネットの普及にともない現代ではインターネットを介したシステムに事実上統一された.携帯電話のメールもインターネットを介しており,技術的観点から見ればPCで利用するメールとまったく同じものである.

電子メールの仕組み

インターネット上のサービスは,基本的にすべてサーバとクライアントから構成されている.

  • サーバ: サービスを提供するコンピュータそのもの,あるいはサービスプログラムのこと
  • クライアント: サービスを受ける側のコンピュータ,あるいはサービスを受けるのに必要なプログラムのこと

電子メールシステムは,MTU(メールクライアントソフト)とMTA(メールサーバ)によって構成される.

ユーザが通常PC(携帯電話)でメールを受信送信するために利用するのは,メールクライアントソフトである.メールクライアントソフトのことをMUA(Mail User Agent: 「メールユーザの代理人」の意味)と呼ぶ.代表的なものには,MicrosoftがOSに付属させているOutlookExpressなどがある.これらメールクライアントは次の基本機能を持っている.

  • メールの作成・編集
  • 自分宛に届いたメールの読み込み
  • 自分が書いたメールの送信機能

メールサーバは,実際の郵便と対応すれば郵便受けとポストと郵便局を兼ねたような存在といえる.メールサーバ(コンピュータ)上で動作するメールサーバのソフトのことをMTA(Mail Transport Agent: 「メールを配送する人」の意味)と呼ぶ.自分のPCから送信された電子メールは,一度自分が所属する組織(大学・会社・プロバイダなど)のメールサーバに送信され,インターネットを介して宛先の人が所属する組織のメールサーバへ送信される.メールサーバは24時間稼働であるため,自分のPCの電源を落としていても,メールサーバに届く自分宛のメールはすべてサーバが保存しておいてくれる.

自分のPC-LAN-自分のメールサーバ-インターネット-相手のメールサーバ-LAN-相手のPC	

メールクライアント(MUA)が,メールサーバ(MTA)へアクセスして,自分宛のメールを取り込んだり,他人へのメールを配送してもらうために定められた標準の手順(プロトコル)がある.プロトコルに従わなければ,互いに通信することはできない.他人へのメールの配送を行うためのプロトコルがSMTP(Simple Mail TransferProtocol: 「簡易メール転送手順」の意味)である.自分宛のメールを取り込むためのプロトコルがPOP3(Post Office Protocol Version 3: 「郵便局の手順」の意味),またはIMAP(Internet Message Access Protocol: 「インターネットでメッセージをアクセスする手順」の意味)などがある.サーバによって使用できるプロトコルが決められている.

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)に電子メールの仕組みを解説しているページがある.セキュリティセンタートップより,リモートアクセス環境におけるセキュリティの中の,電子メールに,解説がある.

電子メールの作成

様々な電子メールソフトがあるものの,電子メールを作成するためには次の項目を設定する必要がある.

項目表記(別名)の例入力する内容
To: 送信先,宛先 相手のメールアドレスを記入
Cc: 同報先,写し 同時にコピーを送信する相手のメールアドレスを記入,送信先の人にも誰に送ったか通知
Bcc: 同報先,写し 内緒でコピーを送信する相手のメールアドレスを記入,送信先の人には通知しない
Subject: 件名,表題,題目 メールのタイトル,内容を一言で表すようなキーワードを設定
本文 メールの本文
署名,signature自分の所属組織・名前・連絡先など
添付メールに添付するファイルを指定

作成時の注意として

  • 送信先(同報先)は間違えないように(送信したメールを取り消す方法はない)
  • 件名は具体的な内容がわかるように(ダメな例:「こんにちは」「ありがとう」,良い例「9月28日の会議内容」「御社の面接内容について」)
  • ※返信の場合の件名には,「Re:」をつける(ラテン語で「に関して」の意味).例: 「Re: 出席の確認」
  • 本文は,(盗聴されることを前提に,もしも漏洩したら致命的な)重要な情報は書かない.
  • 返信するときの本文に,相手が書いた文書を引用する場合,行頭に「>」などの引用記号を付けることを推奨.
  • 署名は簡潔に.必要以上の情報はいらない
  • 添付ファイルは,サイズが大きいものは避けること.

電子メールの例を示す.

△△社 ○○様    (※CCしている人もいるため,だれ宛なのか最初に明記する)
日工大の××です.     (※自分が誰か明記)

昨日は・・の対応ありがとうございました. (※感謝の意を忘れない)
本日は・・・の件でメールいたしました.   (※最初に要件を書く)
 省略

それではよろしくお願いいたします.  (※丁寧な言葉づかいを)

---
 日本工業大学創造システム工学科
  ××××
 Tel. xxx-xxx-xxx E-mail: xxxx@nit.ac.jp

電子メールのビジネスツールとしての利点

携帯電話であろうがPCを利用しようが,電子メールには共通する利点も多い.

手紙に比べれば高速

電子メールは,普通の手紙に比べて気軽に使用できる.切手の用意やポストを探す必要がない.携帯電話ならばすぐに,またPCメールでもメールを出してその日のうちに返事が返ってくることもある.

相手の都合に合わせなくてよい

電話と違い相手がその時不在でも連絡をつけられるため,忙しい人を捕まえるには重宝する.海外への連絡でも時差を考えずにすむ.

記録が残せる

メールを使用すれば内容の記録が残ることが利点の一つである.例えば集合時間や待ち合わせ場所など,相手に覚えておいてほしい事柄がある時にはメールの方が便利である.

複数の人に同時に発信できる

電話や手紙では不可能であるが,同じ内容のメールを複数の人に同時に連絡することも簡単にできる.

コンピュータで作成したデータをそのまま送信できる

通常の郵便の場合,紙に書かれたもの・印刷されたものを送ることが基本である.もしもコンピュータで作成したデータそのものを渡そうとしたら,CD-Rなどメディアに記録してからそれを郵送することになる.

しかし電子メールならばデータをそのまま相手に送信できる.文字データならばそのままメール本文に書けるし,それ以外のデータでもメールにデータファイルを添付することができる.

電子メールの注意点

携帯電話のメールとPCによるメールとの違い

携帯電話のメールと,PCを使ったメールもインターネットを介して相互にやりとりができる.つまり,PCから携帯電話にメールを送信したり,逆のこともできる.ただし,携帯電話の場合とPCの場合では利用方法や使い方に対する意識などが若干異なるため,注意が必要である.本演習では,あくまでPCで利用するメールを説明する.そのため,まず携帯電話との違いをはっきりしておこう.

PCのメールは,すぐに返事が返ってこない

携帯電話へのメールの場合,機器の性格上,各個人が常に肌身離さず携帯しているためすぐに相手が返信してくれることがある程度期待される.しかし,PCの場合にはそもそも相手がPCの前に座っていないかもしれない.一日のうちPCを利用しているのがどのくらいの時間になるかは人にもよるため,メールの返信は翌日になることもあれば,さらに数日後になってしまうこともあり得る.

そもそも,電子メールの利点の一つは,相手の都合に関係なく,自分の都合に合わせて24時間いつでも発信できる点にある.送るだけ送っておけば,後は相手が相手の都合のよいときに読んでもらえる.電子メールは,双方がそれぞれ自分の都合のよいときに確実な連絡可能な手段を提供している.PCの場合のビジネスメールでは,すぐに返信が返ってこないからといって不愉快に感じたり不安を感じても仕方がない.

PCのメールは,大きい画面で読まれる

携帯電話の画面は小さかったり,あるいは記憶容量や通信速度などの制約によって文字数に制限があることもある.いずれにしよ,長いメールはあまり存在しない.しかしPCではそのような制約はない.必要ならば長い文章のメールもありうる.その代わり,適切に改行を入れたりして見やすくする工夫が必要である.

PCのメールは,絵記号が使えない

携 帯電話では,メールでのコミュニケーション用にハートマークをはじめとして様々な絵記号が使えるようになっているものが多い.しかし,これはあくまで携帯電話専用のものである.携帯電話同士でも機種が異なれば表示できない記号があるが,特にPCではこれらの記号はまず表示できない.逆にPCだけで用意されている記号や文字もあり,PCから携帯電話,逆に携帯電話からPCへメールする場合には通常の文字だけを使うように心がける必要がある.

PCのメールではファイルを添付できる

特に仕事や学校関係で使用されるメールでは,本文だけでなく詳細のデータをExcelのファイルやWordのファイルとしてメールに添付されて送られてくることも多い.PCの場合には,通常これら添付されたファイルもメールを読むのと同時にその場で閲覧することができる.

しかし,携帯電話の場合にはこうした添付ファイルを閲覧する機能自体がない機種がほとんどである.また,添付されたファイルサイズが大きい場合には,そもそもメールの容量制限によって,全部が受信できない可能性もある.

特に,学校からのメールや就職関連のメールでは携帯電話のメールではなく,普段からPCへメール送信してもらわないと,これらのメールを受け取ることができない点に注意すること.

PCのメールは,自分が誰だか名乗らないといけない

携帯電話の場合には,メールをやりとりする相手は電話帳・アドレス帳機能に登録することが多い.このため自分の携帯からメールを発信するだけで,相手は誰からのメールかわかってもらえることも多い.しかし,PCのメールの場合にはそれは期待できない.そもそもPCの場合には,フリーのメールアドレスを取得することがあったり,プロバイダを変更することもあったりして,メールアドレスを複数持っている人や頻繁に変更する人もいる.このため,日本ではメール本文の冒頭で,「○○大学の△△です.」と名乗ることが習慣化している.

頻繁に目を通さないと無意味

特にPCを使ったメールの場合,自分や相手が電子メールをよく使っていないと連絡手段として無意味である.普段から電子メールをよく使うよう心がけたい.少なくとも一日一回PCでメールをチェックする習慣を持つこと.

確実に配送される保障がない

紙の郵便では書留・速達や配達証明など,確実な配送を保証するサービスがあり,さらに郵便局員が配達に関して責任と義務を負っている.だが電子メールでは,配送に関して法的な責任や義務はいまだ定義されておらず,各サイトのシステム管理者やメールを中継するネットワーク回線業者などの良心に頼っているのが現状である.機器の故障などによるトラブルだけでなく,操作ミスによりそもそも電子メールの発信に失敗している場合や,フリーメールアカウントを利用したメールの場合には,相手側のspamメールフィルタ設定によって着信が拒否されていることもある.就職活動など重要な連絡は,手紙や電話など他の手段と併用したり,相手からの返信を確認したりする必要がある.

相手が読んだかどうか,確認できない

また残念ながら,相手がそのメールを読んでくれたかどうかを確実に確認するための一般的な方法は存在しない.(※一部のメールソフトでは,確認機能が用意されているものもあるが,相手も同じメールソフトを使っていないと機能しない.)

あなたにメールに送信してくれた人がいたとしたら,その人はあなたがメールを読んだのかどうか不安に感じているかもしれない.メールが届いたならば,最低限の礼儀として「届きました」という返事だけでも返信した方がよい.また,一度発信してしまったメールを取り消すことはできない.間違った相手に発信した場合は,謝罪のメールをさらに出すしかない.

盗聴される可能性がある

電子メールは相手に届くまで,インターネットを経由する.インターネットは誰でも自由に使用できる公衆回線であり,悪意のもった人間が覗き見る可能性もある.また宛先が間違っていた場合など相手先のマシンの管理者が,問題に対処するためにメールを読むこともある.いずれにせよ,電子メールは他人に読まれる可能性が高い.郵便局員と違って,サーバ管理者は守秘義務を負っていない.クレジットカード番号など個人情報を電子メールでそのまま伝達することは愚かである. 通常のメールは「ハガキ」に喩えられる.重要な情報は「封書」しなければならない.電子メールでは,これはメールを暗号化して送信することに相当する.

文字によるコミュニケーションの難しさ

電子メールは文章だけによる伝達手段であり,表情も口調も伝わらない.例えば「馬鹿だね」と書いただけでは,それが愛情をこめた冗談なのか,本気で軽蔑した言葉なのか判断できない.相手の誤解を招く表現は避けるべきである.電子メールを出す前に,よく確認すること.

コンピュータウィルスに感染する可能性がある

コンピュータには,不正目的のプログラムの一種であるコンピュータウィルスが存在する.コンピュータウィルスの感染経路には様々なものが存在するが,大きな感染経路の一つが電子メールになっている.具体的な手口としては,ウィルスがメールに添付されたファイルとして送られてくることがある.添付ファイルを開く際には十分注意する必要がある.もしもウィルスファイルを実行してしまうと,ウィルスに感染して,自分の知らないうちに友人などに自動的にウィルスメールを発信させられてしまうことがある.

ウィルスが添付してくるメールは,差出人が友人を装っていたりすることもある.また添付しているファイルのアイコンや拡張子を偽装していることもあるため,例えば単なる画像ファイルだと思ってクリックすると,ウィルスが実行されてしまうこともある.見知らぬ人からの添付ファイルはもとより,友人からきたように見えるメールでも,少しでも不審なことがあれば,折り返し友人にメールして添付 ファイルの内容について確認することを忘れてはいけない.

また,JavaScriptやActiveXなどの機能を悪用して,プログラムを自動実行するような悪質なメールも存在する.そのような場合,添付ファイルを開く以前に,そもそもメールを開いた時点で感染してしまうこともある.メールソフトの設定で自動実行の機能を使用しないようにしたり,HTMLで書かれたメールは表示しないように設定することを勧める.

添付ファイルのサイズが大きすぎるとネットワークの麻痺やサーバのパンクを招く

実際の郵便物では,ポストに入れられるサイズや,そもそも窓口に持って行くためあまり重い物は送れない.いわれなくとも誰でも常識的なサイズや重さに従っている.しかし,電子メールだとこれを忘れてしまう人がいる.

あまりに巨大な容量を必要とするデータを電子メールに添付すれば,それだけ通信に時間がかかる.自分のパソコンからサーバへ転送するだけでなく,それを相手まで通信させるためには,公衆回線であるインターネット上でその巨大なデータを送らなければならない.相手の通信回線の容量も関係するが,常識を越えたサイズを送ることは迷惑である.現在でこそ高速通信網が整備されているためそこそこのサイズ(数メガバイト程度のこと)であればさほど問題とはならないが,それを超えるデータの場合には,分割して送信するなどの工夫が必要である.

意外な盲点として,CC機能を使った同時送信に注意すること.小さな添付ファイルだったとしても,例えば100人に送信するとすれば100倍のデータを送ることになる.単純に添付ファイルの容量だけを注意するのではなく,全体の送信量を計算すること.