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インターネットとは
インターネットは,現在広く普及し電話と並んで一般に利用されている通信手段のインフラストラクチュアとして機能している.
インターネットの仕組み
Internetの誕生
1969年にアメリカ国防高等研究企画局の資金協力により実験が行われたARPANETがインターネットの起源である.1983年に,これがMILNETと新ARPANETに分割され,2つのネットワークを同時に指すために「Internet」という用語が初めて用いられた.現在「Internet」(大文字Iに注意)という場合は,世界中の相互接続されたネットワーク群,つまり地球上のいたるところに張り巡らされたただ一つの巨大なネットワーク全体のことを指す.
技術的に正確にいえば,TCP/IPで接続されたネットワーク全体のことをいう.TCP/IPについてはここではプロトコルの一種だと認識すればよい.プロトコルとは日本語に無理に訳せば「手順」のことである.例えば電話で通話する場合には次のような一連のやりとりが必要となる.
「もしもし」(とりあえず約束の第一声) 「はい」(通信状態が確立したことを示すための応答) 「私は○○ですが,××さんはいらっしゃいますか」(最初に要件を簡潔に述べることが要求される) 「ただいま外出中です」(要件に対する応答)
電話の話し方は細かく規定されているわけではないが,習慣的な決まり事がある.ネットワークで通信する場合には,通信する双方が従うお互い同士の非常に緻密な決まり事が必要とされる.この通信上の決まり事のことをプロトコルと呼ぶ.インターネット上では,通信に参加するすべてのコンピュータはインターネットプロトコル(IP)に従った通信を行っている.
IPアドレスとは
TCP/IPに基づく通信では,通信する時に相手のコンピュータを識別するために次のようなIPアドレスを使用する.
202.18.170.16
このドット(.)で区切られた4つの数値で構成されるアドレスは,インターネットにおけるコンピュータの電話番号だと考えればよい.通信相手を指定するのに必要となる.
インターネット上で用いられるIPアドレスは,特にグローバルアドレスと呼ばれる.グローバルアドレスは,全世界でユニークであることが保証されたIPアドレスである(あるグローバルアドレスは,全世界でただ一つでなければならならない).そのため,そのグローバルアドレスを通信先に指定すれば,世界中どこからでもそのコンピュータへアクセスできる.
(注意)自宅のコンピュータは,プロバイダから一時的にグローバルアドレスを借りて,インターネットに接続している.
これに対して,大学内など,LAN(ローカルエリアネットワーク: 構内ネットワーク)の中でしか有効でないアドレスのことをプライベートアドレスと呼ぶ.グローバルアドレスを電話番号に例えれば,プライベートネットワークは内線番号のようなものといえる.プライベートアドレスとして使用できるIPアドレスの範囲は決まっており,代表的なプライベートアドレスは次のようなものである.
- 192.168.*.*
- 10.*.*.*
- 172.16.*.*〜172.31.*.*
*には任意の数字を入れられる.プライベートアドレスはLANの管理者がLAN内部で使用するのに適当に割り当ててよいが,プライベートアドレスのままではLANの外部のインターネットとは通信することはできない.
ドメイン名とは
IPアドレスは,人間にとっては覚えにくいし,それがどのコンピュータを示すのか直感的にはわかりにくい.そのため,IPアドレスをドメイン名と呼ばれる一連の単語に置き換えるサービスが用意されている.これがDNS(ドメインネームサービス)である.ドメイン名は一部省略されて使用されることがあるが,省略なしに完全修飾されたドメイン名のことをFQDN(Fully Qualified Domain Name)と呼ぶ.IPアドレスを電話番号とすれば,FQDNはそれに対応する住所に相当する.
FQDNは,例えばcstu.nit.ac.jpのように,ドットで区切られた一連の文字から構成される.ただし,IPアドレスとは違い,必ず4つに区切られるわけではない.ドットによってサブドメインを階層的に表現し,必要に応じてサブドメインをいくつでも付け足せるようになっている.
- cstu→ cstuというメールサーバのホスト名(情報工学科学生用,つまりC科のstudent用)
- nit→ 日本工業大学( Nippon Institude of Technology)
- ac→ 教育機関(Academic)
- jp→ 日本(Japan)
先頭のcstuは,ホスト名と呼ばれ,コンピュータの名前を示す.ホスト名は,その組織の中で重複しないように決められる.このため,同じ組織内に存在するコンピュータからは単にホスト名を指定(ドメイン名を省略)するだけで目的のコンピュータと通信できる.
しかし,別の組織には偶然に同じホスト名のコンピュータがあるかもしれない.そのため外部と通信する場合には,ホスト名の後に続くドメイン名が必要となる.ドメイン名は,そのコンピュータが所属する組織などを表し,さらにその組織が所属する上位組織をドットで区切って階層的に表現している.
DNSサーバは,IPアドレスとドメイン名の対応表を持っており,要求されたIPアドレスに対応するドメイン名や,逆にドメイン名からIPアドレスを取り出すことができる.ただし,例えば個人のパソコンなど,ドメイン名がDNSサーバに登録されていないコンピュータの場合には,ドメイン名を持たないことがある.
インターネットでは,このIPアドレスとドメイン名のどちらを使っても相手が指定できるようになっている.
インターネットを利用したサービス
インターネット上で提供されているサービスには様々なものが存在するが,代表的なものが次の2つである.
- メール
- WWW(WorldWideWeb)
本演習ではこの2つの利用方法を中心に実習する.
その他のサービス
そのほかにもインターネット上ではいろいろなサービスがある.例えば次のようなものがある.
- Telnet : リモートログイン(コンピュータの遠隔操作)
- SSH : 暗号通信
- FTP : ファイル転送
- NTP : 時刻同期
これらのうち,TelnetとFTPに関しては,Webページ作成時に補助的に利用することが多い.SSHは,暗号化通信を行うためのもので,現在ではTelnetではなくSSHを用いてリモートログインすることが主流である.
最後のNTPは,インターネットに接続されたコンピュータの内蔵時計の時刻を自動的に正しく設定するサービスである.一度NTPを使用する設定にすれば,そ れ以後意識しなくともコンピュータの時刻は正確でありつづける.Windowsでは初期状態で次のNTPサーバへアクセスするように設定されている.
- time.windows.com
この設定は次のように変更しておくことを勧める
「コントロールパネル」→「日付,時刻,地域のオプション」→「日付と時刻」→「インターネット時刻」→「自動的にインターネット時刻サーバと同期する」にチェック
time.windows.comの代わりに次のいずれかを設定
- ntp.nict.jp (公式の日本標準時 ※Stratum 1)
- ntp.jst.mfeed.ad.jp (ntp.nict.jpに同期したStratum 2)
インターネット利用上の一般的注意
電子メールは誰とでも気軽にコミュニケーションが可能であり,様々な楽しいWebページも存在する.しかし,世界中に存在する情報を簡単に取得できる反面,危険な側面が存在する.次の点に十分注意すること.
- 犯罪行為には利用しない.公の秩序・善良なる風俗(公序良俗)に反する行為を行わない.
- 他人のプライバシーにも配慮する.
- 自分が被害者にならないように注意する.
- 私的利用には注意する.
1は常識である.誰とでも自由にコミュニケーションできるとはいえ,詐欺などの犯罪に利用してはいけないことは説明するまでもない.しかし,見落としやすい例として著作権違反がある.最近ではCDや書籍,写真などの著作物を簡単にデジタル化してコンピュータで扱うことができる.しかし,それらを気軽に他人と交換してはいけない.すでに日本でも逮捕者が出ている.また,他人の誹謗中傷はする行為も慎むこと.あるいは,他人を装っての行為もしてはならない.
2は,自分のプライバシーにはうるさいくせに,他人のプライバシーを重んじない恥ずべき人がいる.個人情報の取扱いには十分注意すること.
3で指摘するように,自分が被害者になることもある.世の中には残念ながらモラルが欠如した犯罪者が存在し,今日ではインターネットへもアクセスしている.ねずみ講などの詐欺行為に引っかかられないように十分注意すること.
また,4は将来,就職先では私用電話が厳禁されるように,私用ネットサーフィンや私用電子メールも厳禁とされることを注意したものである.どのページをいつアクセスしたのか,いつどんなメールを誰に出したか,管理者はすべて把握できる.実際にそれが理由にされて会社を解雇される例がある.例えば日本の大手電器メーカ各社では,企業秘密の防衛のため社外との通信は厳重に監視されており,程度の差こそあれ,給料や昇進などの人事査定にも影響を与えている.大学の場合には,それほど厳しい管理が行われていないが,純粋に趣味でWebを使うならば自宅で行うべきである.