最近の情報システムは,データベースの知識なしでは開発することが困難になっており,短期間にデータベースの基礎的な知識を習得する必要性に迫られるば場合が多い.このようなとき,理論的過ぎず,かといって実用的のみを追求したものでもないテキストが必要になる. 内容的には,他のデータベースの理論的なテキストと異なり,ファイル編成法に比較的ページを割いている.これは,データベースを上手に使いこなす上で,データベースの物理的な格納イメージをもっていると,やたらと索引を作るようなことや,効率を無視したスキーマ設計等がある程度防げるためである.同時に,関係データモデルの物理的な構成を理解しやすくと考えるためである. 次いで関係データモデル,特にERモデルに多くのページを割いている.これは,もちろん,データベース設計の中核部分であり,データベースのスキーマ設計(ACCESSでいえばテーブル設計)を正しく行なうには,不可欠な知識だからである.したがって,本書は,MSACCESSやORACLE等の解説書を読む前に,読むべき入門書であるということができる. データベース設計は,情報システムの設計においても大きな比重を占め,かつソフトウェア工学とも深く関係する.ソフトウェア工学を学ぶ者にとっても,できるだけ本書の関係モデルのスキーマ設計は精読されることを薦める. |