実験演習に限らず,一般的な報告書を書くための注意点についてまとめる.レポートのサンプルをここにおいておく.sample.doc(Word文書97Kbyte)
一般にレポートや論文は,次のような構成を持つことが多い.
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表紙 |
講義名:担当教員名 報告書のタイトル,学籍番号,氏名,提出日,締め切り日 |
1. |
まえがき |
何にについて書いた文章か説明する部分. |
2. |
目的 |
どのような問題について,なにを明らかにするのか説明する部分. |
3. |
理論・原理 |
理論,実験や調査の条件や範囲,諸条件や実験器材, この部分は実験内容や調査内容・研究内容に応じて、場合によっては複数の章を分けて詳しく書いたりすること。 |
4. |
実験結果 |
3.をうけて調査結果,実験結果などについて書く.ここではあくまで |
5. |
考察 |
4.について議論し,わかったこと,結論について書く. |
6. |
まとめ |
1.から5.について簡潔にまとめる.(結論だけではない点に注意) |
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参考文献 |
参考にした書籍,論文のリストをつける.(ここに7.のような章番号は振らない) |
印刷したレポートを提出する場合は,全部.が1ページに収まってしまう簡単なレポートの場合は,表紙をつけないこともある.しかし複数枚の場合は通常必ず表紙をつけ,紙の上部を2個所以上ホチキスで止める.ホチキスがとれた場合,誰のレポートかなどが分からなくなり,成績がつかない.クリップで留めたものなど論外,レポートボックスに提出された直後にばらばらになってしまう.
文章の性格や,量によって,1.から5.の項目は他とまとめられたり、逆に分割されたりする場合もある.例えば卒論では
1.まえがき
1.1
研究の背景
1.2
研究の目的
2.理論
3.実装方法
4.システムの構築
4.1
構築結果
4.2
システムの評価
5.議論
・・・
のようにさらに詳細な章立てを行うこともある.(通常の講義レポート程度の分量では、あまり小分けするとかえって読みづらくなるので注意.)
報告書や論文とは,読み手に,何かを伝えるために書く文章である.あまり形式にこだわる必要はないものの,報告書を書き慣れていない場合は,この形式どおりに書いた方が無難である.形式に従えば,少なくとも必要な事項を漏らさないで済む.
レポートでは,基本的に正しい日本語の規則に従うこと.小学校以来,国語として勉強してきているはずが身についていない人がいる.注意してほしい.特に,文体は「である」調か,「ですます」調かどちらかに統一すること.レポートの場合は「である」調であることが多い.
また,箇条書きや図,表を使うなど適宜分かりやすい表現をするように心がける.ただし,箇条書きだけで報告書を構成してはいけない.読んでもさっぱり理解できない報告書になる.基本は文章できちんと表現し, ポイントとなる点など適切な個所で箇条書きを使うようにすると効果的である.
その他、次のルールに従うこと.
1. 章の見出しは必ずつける. 先ほどの形式に従って章立てをした文章では,各章の最初に章番号とタイトルからなる章の見出しが必要である.例えば,
1. まえがき
課題4として出されたモンテカルロシミュレーションを行い、円周率を求める演習を行った。これによりモンテカルロシミュレーションに対する理解を得,その性質について考察を行ったのでここに報告する.
・・・・・・・
のような文章を書くことになる.
2. 図,表には必ず見出しをつける.図の場合は図の下に,表の場合は表の上につける.
3. 必ずページ番号を振る.レポートの上をホチキスで綴じる場合は,ページの下にページ番号を必ずつける.ページ番号の書式はどのようなものでもかまわないが,文章内で統一されていればよい.
4.参考文献として次の情報を必ず書く.
学術雑誌や論文集のなかの論文を参照する場合は,
文献番号 著者名, “タイトル”,
雑誌名,
巻,号,ページ,発行年.
例 1]
富田ほか“
構造解析によるテクスチャの分類”,電子情報通信学会論文誌(D),Vol.J61-D,No.1,pp457-464,
1978.
書籍を参照する場合は
文献番号 著者名, 「書籍名」,
出版社,
発行年.
例 2]
三根久 「モンテカルロ法・シミュレーション」,コロナ社,1994.
これができないと,盗作という犯罪行為とみなされることがある.卒論などで発覚すると卒業できないのはもちろん,退学を含めた処分が考えられる.他人の文章を引用する場合は,その部分をはっきり明示して引用しなければならないことに注意せよ.単に言い回しや,文体を変えただけで,文章の論理が同じまま自分の意見のように書かれている場合も,やはり盗作として扱われる.
特に,文章だけでなく,図や表に関しても書籍から引用する場合は出典を明記しないといけない.できるならば図や表に関しては単にコピーを載せるのではなく,自分で書きなおしたほうがよい.無論その場合も.図や表の元となったデータの出典を明記しないといけないのはいうまでもない.
ときどき,行間や文字ピッチを空けて,すかすかのレポートを提出する人がいる.確かに枚数は増えるかもしれないが,これは一目で印象を悪くする.教官によってはそれだけでレポートを不合格にし目も通してもらえないことさえある.報告に必要な事項を並べるだけでも通常はそれなりの分量になるはずである.水増しの必要があるということは,必要事項さえ書いていないことを意味し,内容がまったくないことを意味する.
また報告書は感想文とは違う.感想を書かれても成績には関係しない.感想だけが書かれた報告書は,白紙で提出されたものと等しい.感想ではなく,「事実」や「真実」,「考察」が求められているのである.演習に対する感想などがあれば,完成されたレポートの末尾に付記する形にしてほしい.