■リアルタイム顔置換システム■

最近のデジタルカメラなど，カメラ画像から人間の顔を自動的に検出する機能をもつような機械が一般に普及してきた．また，インテル社がオープンソースとして公開しているOpenCV(Intel OpenSouce Computer Vision Library)にも顔検出機能が用意され，一般の人間も簡単に顔検出プログラムを構築できる環境が整いつつある．

ここでは動画処理の例として，カメラ画像から(複数の)顔を高速に検出し，リアルタイムにスマイルマークに置換するシステムを構築する．

■アイデア■

アイデアはOpenCVに利用されている方法の簡易版とする．

• 入力画像から明度成分だけをとりだし，グレースケール画像とする．

• 縮小し，解像度を落とす．
• Haar特徴と呼ばれる単純なテンプレートによる特徴値を計算する．テンプレートは次の黒い部分と白い部分からなる．□一つが一画素とする小領域で，このテンプレートで画像を端から走査する．テンプレートの白い部分-黒い部分の画素の平均明度差を計算し，テンプレート位置の特徴値とする

■■■
□□□

• 得られた特徴値からなる特徴画像は次のようなもので，画像から横線成分を取り出しているようなものになる

• この特徴画像に対して，次の単純な(※)顔テンプレートで走査し，テンプレートにマッチする位置を探す．■の位置に強い特徴があり，□の位置には存在しないことが条件である．「・」の部分はどちらでも構わない．

・・□・・ 
・■・■・
・□・□・
・・■・・
・・・・・

• (※OpenCVでは，こんな単純なテンプレートではなく数千枚の顔画像から統計的に得られたものを使用しており，もっと精度が高い検出能力を誇る．)
• マッチした位置を顔領域として，スマイルマークを重ねる．顔が複数あっても問題ない．

実際には別のHaar特徴も併用することで，精度をあげている．

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また，特徴画像を得るときの解像度を大・中・小ともうけることで3段階の大きさの顔を検出できるようにしたり，テンプレートのマッチングを工夫してもっとも顔らしい部分を探索したりまた，斜めに傾いたテンプレートを用意して傾いた顔の検出も可能としたりなど，実用のためにはもう少し小細工が必要である．

■検出例■

この程度の検出処理もリアルタイムに行うことができる．